
病院管理栄養士さんって、どんなお仕事しているの?

病院管理栄養士歴15数年以上(直営も経験)の私りんごがお答えします!
これから管理栄養士としての就活を考えている方、また他の職種の皆さん、管理栄養士って何してるんだろうと思いますよね?
「ごはん作っている人」「栄養指導をしている人」と思われることも多いかと思います。
実は管理栄養士の業務内容ってほんとにいろいろあります!
管理栄養士ってほんとすごいんです!
では、病院管理栄養士のおしごとをご紹介します!
栄養指導・給食管理と…それだけじゃない!管理栄養士の仕事
病院栄養士の仕事は大きく分けて、
- 栄養管理業務(栄養指導ふくむ)
- 給食管理業務(献立・調理など)
のふたつに分けられます。
しかし、この業務を細分化していくと、多くの業務に分かれます!具体的にみてみましょう。
栄養管理業務
栄養指導
まずは、病院ですと栄養指導があります。総合病院や精神科・リハビリ病院など病院の種類によって、指導の対象者が変わってきますので、件数の多さや指導内容も変わってきます。
栄養管理
栄養管理は、NST(栄養サポートチーム)や褥瘡委員会などでは多職種と連携することが多いです。主な業務は、ほぼ一人一人の「栄養管理計画」の立案・書類作成です。入院されたら、その方の状態を把握して提供栄養量を算出し、目標を決定します。
給食管理業務
給食管理業務。これは、栄養管理・栄養指導の次に思いつく業務だと思います。
ただし!「献立立てる」だけじゃあない!!と強く言いたい。「献立立てる」だけでも1記事書けそうなので、ここは割愛して(笑)、さらに細分化すると、
- 献立作成
- 調理員への調理法などの指示
- 食数集計
- 発注
- 納品
- 在庫管理
- 食費計算 などです。
さらに説明すると、
献立作成
いちから献立を立てるということはありませんが、基本の献立をローテーションしながらも旬や食材費の情報と合わせながら修正して、エネルギー量・たんぱく質量・塩分量などを計算し、決定させます。食種が多いほど訂正も大変になります。
調理指示
献立を立てたら、その調理法を調理員さんへ指示します。「調理法ぐらい調理員さんなんだからわかるんじゃないの…?」ではありません。
調理員でも調理師と調理員がいらっしゃいます。また雇用形態も異なる場合もあります。
- 調理師(専門の学校を卒業した方)
- 調理師(調理員から調理の試験をパスした方)
- 調理員(調理師の資格のない方)
- 調理員(正職員)
- 調理員(パート)
(※各施設によっても雇用形態が異なります)
切り方の指示や行事食など普段と異なる献立は再度確認したりします。
以前の病院では誰がみてもわかりやすいように大量調理用のレシピ集を作ったりもしました。
食数集計
入院や変更の「食事変更」から、料理数を計算し調理員さんへ指示します。特に病院は術後食などの食種も多く、入れ替わりも多い施設は変更も多いです。
発注
予定食数より食材の量を決定し、各業者へ発注します。ほしい食品があるのかとか、行事や時期によって使うものが変わったり、食材費にもかかわるので、細かいコミュニケーションも必要なときもあります。
納品
発注数合っているか、食品の状態・適温か等をチェックします。もしここで指定の商品でない物がきた・数が合わないなんてハプニングもありますので、臨機応変な対応も求められます。
在庫管理
食材料の管理と食費にも関わる大切な業務です。「ぴったんこかんかん」に使い切れたら苦労しないですが…ある意味腕の見せ所?かもです。
食費計算
月1回の合格発表!
- 予算内にできていたか?
- 栄養量は約束食事箋通りできていたか!?
それを計算して書類を作成し上に提出する業務が月に1回あります。
おまけ 職員食管理
これは補足なのですが、『職員食』も栄養科で提供しているところもあります。対象者は施設によって、先生だけなのか、職員の希望者だけなのかの違いもあります。
前の職場では職員食を100~120食ぐらい提供していました。食数管理と食事代の計算という業務があります(泣)
②衛生管理業務
給食業務と並行して行う、給食施設の2大業務!衛生管理は、超大事!何かあったら一発アウトの緊張感をもっています。
基本的には「大量調理マニュアル」があり、そのマニュアルをどう実行するかそしてスタッフにどのように周知・実行させるかを行います。
書類の整理
衛生管理業務では記録・帳票整備もひと仕事です。整備保管して、保健所監査(年1回)の際には提出します。
どんな書類をそろえているのか?は以下でくわしく書いてます。
③人事管理
直営では「調理師・調理員さんのシフトを組む」という業務があるところも。
私が以前勤めていたところでは、管理栄養士の課長が組んでいました。
調理員17人ほどの早番・遅番・休みを組み込みます。
組み合わせも考えるとさらに考えることが増えます。「ベテランと新人の組み合わせ」やら「人の相性」やら、「休みの次の日は早番にしない」とか(変更事項の連絡漏れとかでミスが出やすいので)・・・そういうところまでみて組むので、この業務で数日を費やしていました。
課長いわく、「パズルみたいに没頭できる」と言っていました。
④番外業務
まさか!?とは思いますが、調理機器の修理とかもやってました。
古い施設だとひんぱんに故障があって、なにかしら壊れているといった時期もありました(涙)
- スチコンの水漏れ騒動
- 洗米機の米が出てこない事件
- 立体炊飯器、炊飯の途中でストップ事件
- 入り口の戸が閉まらない!
- 夏は温冷配膳車がよく壊れていました。(耐用年数超えてたからなぁ)
(もちろん、適温提供しましたが)
おかげで配管とか強くなりました。
ペンよりも、おたまよりも、ドライバーやペンチを握っていることが多い…そんな管理栄養士です(笑)
管理栄養士と栄養士による業務のちがいは?

栄養士さんが給食業務専任でいらっしゃるところもあるようです。そういったところは
・管理栄養士→栄養管理・栄養指導
・栄養士 →給食業務
と分かれているところもあります。
給食施設が直営か委託か
さらに、給食施設を委託業者が運営しているところでは、
・委託側→給食業務
・病院・施設側→栄養管理業務と分かれているところも。
就活の際は、求人の出ている施設の給食施設がどのような給食運営を行っているかも着目してみてください。(ただし、どちらがいいということはないです。)
まとめ
管理栄養士は改めて多種多様な業務をこなしています。(すごい!)
ただし思うのは『給食業務を知っているほうが栄養管理・栄養指導に強い』ということです。管理栄養士はいろんな業務で大変なんです。もちろん少ないほうがいいです。だけど、給食業務を知っていれば以下のことを知った上で栄養指導・栄養管理ができます。
- 病院食がどうのように作られているかが分かるため、どの食事を選択すればいいかがイメージしやすい。
- 摂食嚥下指導もしやすい
- 旬が分かる
- 調理法が伝えやすい
新卒者は給食施設で数年→栄養管理業務という流れになっていたりするので、自分が行きたいと思うところの給食形態はどうなっているかもリサーチしておくのもよいかと思います。
ということで、参考になればうれしいです!

りんご
栄養科のみなさん、今日もおしごとお疲れ様です!
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