栄養補助食品っていろんな種類があるけど、この提供方法でいいのかな?
各病院・施設、補助食品の中でどれを選ぶかは栄養士の腕の見せ所です!
補助食品も食事の一部です!
補助食品ひとつとっても種類も様々で、奥の深いものです。
各メーカーでしのぎを削って、栄養の高いもの・味の改良を図り、日進月歩の分野なんです。
それぞれの特徴を知って、患者様にとってよりベストなものを選択していきましょう!
栄養補助食品利用の目的
「栄養補助食品」とは、食事のみでは必要量を摂取することが難しい栄養素を補うことを目的とした食品です。
栄養は、エネルギーのみならず、ビタミン・ミネラル・水分・食物繊維…と幅がありますので、
今回は、高エネルギーの『濃厚流動食品』を中心にお話したいと思います!
この食品を使用する目的は、以下のようなときがあげられます。
- 食欲がない時
- 食事量が減ってきた時
- 体重が減ってきた時
- 褥瘡改善の為の栄養追加
1.食品か?医薬品か?
栄養科扱いの補助食品(食品)
補助食品というと、まずはパックの製品(こんなの↓)をイメージするかと思います。
栄養科が扱う栄養補助食品はこちらのタイプがほとんどです。
なので今回はコチラをメインでお話しますね。
※参考(画像の参考として載せています。購入を勧めるものではないのでご安心を)
薬局扱いの栄養剤(医薬品)
薬局・薬剤科扱いの栄養剤もあります。
こちらは、医薬品扱いとなり薬=処方が必要となります。
その代表的なのが『エンシュアH』です。(写真は、HPでご確認ください)
アボットという会社が出しています。
缶のもので、病棟へ行くとどこかで目にする機会があるかと思います。
また、アボットでは、1缶1.0kcal/mLのものもあります。
その他にも、数種類あります。
補助食品の選択方法
その1:ゼリータイプか飲料タイプか?嚥下食分類を確認!
まずは食形態上、ゼリータイプしか摂取できない場合もありますので、その方の嚥下食分類を確認しましょう。
ゼリー食・ミキサー食・刻み食などの食事の場合は、サラサラの水分がNGの方もいらっしゃるので、第一選択はゼリー状の補助食品を選択します。
*より詰めるなら、離水のないものを選択する必要があります。
その2:水分摂取可能なら、まずはスタンダードタイプの補助食品
スタンダードタイプの補助食品は、どのメーカーも出している、標準的な栄養量・栄養バランスの製品です。
1パック125mlくらいで、200kcal。
栄養素も、PFC比がバランスよく配合されています。
味や価格で各病院・施設が選択していると思うので、まずはあるものを選択します。
その3:「甘い」という方への対応
正直、栄養補助食品は『甘い』です。
特にスタンダードのものは、『あま~い』!!!
なので患者さんも『こんな甘いもの飲めない』とおっしゃる方が多いです。
そんなときに代替品があると心強いです。
例として、こんな商品があります。
すっきりクリミール 200kcal
すいすい 160kcal
これらは、いわゆる「乳」ぽっくない!ことが特徴です。
乳蛋白が少ない分、糖や油でエネルギーアップしているものもあるので、使用する際は、組成を確認すること。
糖尿病や腎臓病の方へ使用する際は特に注意してくださいね!
味指定してみる(コーヒー味やヨーグルト味)
また、スタンダードタイプでも、味によって飲みやすさが変わる場合もあります。
イチゴやバナナ味はより甘ったるさを感じやすいですが、
コーヒー味だと飲みやすい方もいます。
(苦みを感じるからでしょうか。)
クリミールの中でも、ミルク味やヨーグルト味は比較的甘くないと言われいます。おためしあれ♪
ゼリー系:茶碗蒸し味
クリニコでは、茶碗蒸し風味の補助食品もあります。
温めての提供もでき、冷たいものばかりの補助食品とは異なる使用法ができそう。
これだとおかずの1品として使えますね♪
ゼリー系:トウフィール
こちらは豆腐のような食感なので、アレンジもしやすいです♪
基礎疾患を考慮:エネルギー・たんぱく質・脂質・糖質の配分をみよう!
「食べない」の裏にある、各疾患別を考慮する必要もあります。
例えば、以下の疾患です。
糖尿病
糖尿病の方へ使用する場合は、糖質量が多くならないように注意が必要です。
組成的にはバランスのとれた補助食品ですが、消化吸収が良いため血糖値が上がりやすい場合もあります。
また、糖尿病用の補助食品もあります。
在庫管理の関係上、採用していないところも多いと思います。
その際は、採用している補助食品中の糖質量を確認し、飲み物タイプとゼリータイプをうまく組み合わせる方法もあります。
例えば、腎臓病用の補助食品で使っているからといって、糖尿病で使用していけないわけではありません。
油やMCTオイルでエネルギーアップしている食品はどうでしょう👍
エネプリン
1個110kcal(糖質6.0g・脂質9.5g、たんぱく質0g)
MCT(中鎖脂肪酸)が含まれています。
腎臓病・透析
腎臓病・透析では、エネルギーアップの為に、献立に組み込まれているものもあります。
粉飴を使用したゼリー。
水分制限(心疾患や腎臓病)
水分制限がある場合は、あえて飲み物タイプではなくゼリータイプを選択することもあります。
そのほうが水分量を減らすことができる場合もあります。
高カリウム血症
透析や高カリウムになるような疾患がある場合は、補助食品のカリウム量を確認しましょう。
例えば、腎疾患の場合、エネルギーをアップさせたくて補助食品を使用する場合もあるかと思います。
多くの場合は腎臓病用専用として付加しているので、低カリウムの補助食品が採用されているかと思いますが、患者様に合わなくて、代替品を使用する場合は要確認しましょう。
微量元素等に特化した食品(褥瘡や貧血)
褥瘡改善の為には、基本的なエネルギー+ビタミン・微量元素やコラーゲンペプチドやアルギニンといった栄養素の十分な補給が必要となってきます。
各メーカーも、それぞれの栄養素や含有量によって他社との差別化を図っていたりします。
また、含有量によっては価格も異なりますし、
『沢山使えばよい・治る』というわけでもないので、
使用量・上限に注意して使用しましょう。
CP-10
一挙千菜
ここでも、疾患別に、「たんぱく質が多いほうを選択する」のか、「糖質の少ないほうを選択するのか?」などもを考慮します。
味見していますか?
味は大事!だって、おいしく摂ってこその栄養だからと考えます。
栄養補助食品も検食と同じで、味や食感を試食してほしいと考えます。
ですが転職した病院では、”食材料費だから”と、新人さんに補助食品は試飲させてなかったです。
私は味も食感も分からないまま、どうやって患者さんにおすすめするんだろう?と思います。
上司は「自分で買って飲んでみて」と、言っていましたが、
業者さんへサンプル依頼してもらうこともできます。
どちらにしても、味・触感は把握してほしいです。
提供のタイミングは?
食事のお膳に一緒に提供する場合が多いですが、安直にいつでもいいわけでもないと考えています。
それは、状況によって違うからです。
朝?昼?夕?いつがいい?それぞれのメリット
それぞれの時間でもメリットもあります。
対象者のベストなタイミングを、聞き取りによって調整してみましょう。
朝提供のメリット
- 朝だと、お腹が空いているので、摂取される確率が高まる。
- 朝お出しして、「いつでもいいので飲んでください」と伝えると、無理なく飲んでもらえる。
昼提供のメリット
- 昼だと、栄養士が訪問しやすい。摂取量の確認ができる。
- スタッフが日中だと多いため、確認しやすい。
- 摂取できているか、苦手な場合はどうするかなどの相談がしやすい。
夕提供のメリット
- 体重をアップさせたい方は、エネルギーの消費が少ない夕食事のメリットが比較的大きい。
- 夕~朝にかけて低血糖になりやすい方は、夜食の意味も兼ねて夕食時の提供を考える。
その他の時間に提供するのメリット
- 間食として提供すれば、満腹時でない為、摂取されやすい。
- また、血糖値が夕~高くなりやすい方は、朝や日中の提供を考える。
1個あたりの単価も考えよう
さて、これまで様々な補助食品を提示してみましたが、
1個あたりいくらくらいなのか分かりますか?
正解は、1個当たり150~200円位です。
もちろん卸値は市販品よりやや安くなっていたりしますが、それでも1日3回追加すると400円以上食事に上乗せしている計算になりますね。
さらに補助食品の提供には、特別食加算がありません。
なので、『食費を必要最低限にする』という感覚は忘れないでいてほしいです。
栄養補助食品は出したら出しっぱなしでなくて・・・モニタリングをしていきましょう。
- 改善が見られたら、提供数を少なくする。
- 飲んでいるかのチェックをする。飲めていない場合は「なぜか?」を確認する。
- ベットサイドに手つかずの補助食品は残ってないかを、チェックする。
など、迅速に対応しましょう。
その意味でも、ミールラウンドは大切な栄養士の業務です。
こちらの記事も参考にしてみてください↓
まとめ
栄養補助食品には様々な種類があります。
(細かな種類まで言えば、もっともっとありますので、またの機会に…♪)
その種類も日々増えています。
上手に使って、患者さん・利用者さん・対象者さんにベストな選択ができる栄養士となりたいですね!
これで補助食品マスター♪
以上、参考になればうれしいです!
ありがとうございました!
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