新人の頃の栄養指導では何を話せばいいか迷われると思います。
栄養指導の知識は大学で教わって来たけど、いざ開始すると、患者さんの質問に対応できずにどぎまぎ・・・なんてこともありますよね。
これはどんどん回数をこなしていくしかないかもしれません。
やはり経験年数ってのは対応力に厚みがあると思います。
では、新人さんにしてほしいこと・先輩が望んでいることはなにか?
それは、出せる“手札”を増やすことではないかと考えます。
出せる手札①料理
出せる手札。それは、教科書に載っている以外の情報であると考えます。
そのために、一番いい方法は、
料理です!
管理栄養士なので、料理はしていますよ!
と、いう方はごめんなさい。
というのも私が新人時代実家暮らしだったので…
というのも、私りんごは新人時代を実家暮らしし、残業して帰宅していたため、料理や買い物は母に頼っていました。実家は農家でもなかったので、旬の野菜がよくわかりませんでした。
しかし、直営の給食だったため旬がはずれたきゅうりを大量発注し怒られたりして、ようやく旬の大切さに気付きました。旬は給食費にも影響します。
そして、もちろん家計にも影響します。だから、患者さんはその時期の安価な野菜を選ぶようになるでしょう。もちろん、おいしいからでもあります。
料理によって、『野菜の旬を知ってほしい』
料理をすれば買い物にもでかけると思うので、スーパーなどで
『今はこの食材が出始めているんだ。』『安くなってきたな』
この感覚は、栄養指導で患者さんとお話する際に役立ちます。
季節ごとの栄養指導
夏なら
- きゅうり
- トマト
- ナス
が出回り、特に田舎では頂き物だけでも食べきれないほどになってきます。
きゅうりは漬物をする方も多いです。そこで管理栄養士が、塩分が少なくても食べられる食べ方をご紹介できれば、塩分制限の栄養指導の一環となります。
秋はどのような食材の摂取が多くなるでしょう?実りの秋・・・
- 新米
- 果物
- 芋類(里芋・サツマイモ)
- かぼちゃ
- 栗
糖質天国!!Σ(゚Д゚)
そこが分かっていれば、これらの摂取が多くなってないか?を聞き取りすることができます。
適量を確認することができれば、
それは、糖質コントロール食・・・糖尿病の栄養指導の一環となるでしょう。カリウムも気を付けたいですね。
冬はどうでしょう?
- 白菜
- 大根
・・・鍋がおおいでしょうか?
野菜の摂取が多くなりますが、塩分・水分の摂取にも気を付けなくてはなりません。
塩分・水分の制限は腎臓病・心不全等の栄養指導で必要な項目です。
また、ここでも漬物(白菜漬け・大根付漬け)の摂取が多くなり、塩分が多くなります。
春はどんな食材が多いでしょうか?
田舎だと山菜の摂取が多くなります。
- タケノコ
- ぜんまい
- こしあぶら
- こごみ
- うど
山菜は不溶性食物繊維・アクが非常に多い食品です。
消化が悪いので、消化器疾患(消化器科・外科系)の方へは注意が必要です。
栄養指導は旬によっても変動するのです!
出せる手札②ドラックストア巡り
『いろんな食品に興味を持ってほしい』と、思っています。
スーパーの次は、ドラックストア巡りをしてみましょう。
介護食品
最近は、介護食品売り場が充実しています。
介護食品には、『ユニバーサルデザインフード』のマークがついた食品があります。
日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2021より
classification2021-manual.pdf (jsdr.or.jp)
退院時の嚥下調整食品の栄養指導では、
- 介護食品
- とろみ調整食品
- 栄養補助食品
のご紹介をすることになると思います。実際に足を運んでみましょう。
また、自助食器(リハビリ食器)を置いているところもあります!
一緒にこんな話もできたら、患者さんやご家族の不安をひとつ減らせるきっかけになるのではないでしょうか?
低(ゼロ)エネルギー・低糖質食品
見かけることが多いとは思いますが、低エネルギーの甘味料をはじめ、飴・飲料も豊富に置いてあるのはドラックストアが一番だと思います。
私自身も『妊娠糖尿病』になった際は、ドラックストアめぐりと散歩を兼ねて周回していました(笑)
ロカボ商品も増えています。特にナッツ類の種類は増えた印象があります。
独自のパン類を展開しているドラックストアもあります。
ドラックストアの商品は、患者さんも手に取る商品なので、時々巡って新商品をチェックしてみてもよいかと思います!
なにが糸口になるかは、わかりません。
『そんなのがあるの!?使ってみます』というきっかけの手札になるかもしれません。
出せる手札③外食
コロナ禍では患者さんも外食の機会が減っています。
いますぐとはいかないまでも患者さんが利用する機会が多い場所はチェックしても良いと思います。
チェーン店
チェーン店のヘルシー志向も気になるところです。
数年前からエネルギー表示してくれているところは多いと思いますが、
牛丼屋ではライザップ牛丼やサラダ牛丼といった糖質制限の料理を扱うようになっていますし、
ラーメンやさんでは、塩分制限やロカボ麺を使用しているところもあります。
これらは、教科書やパンフレットには載っていないことでもあります。
一度経験し、アップデートすれば、
『外食では何を選べばいいですか?』
の質問に答える手札を増やすことができるでしょう。
正直、食品はたくさんありすぎて追いつけない!
正直、食品業界の進歩により新商品は増え続けています。
そして、民間療法的な食品も。〇〇の実とか、◎◎の葉とか。
ネットまで含めたら、ありすぎる!
「こんな食品飲んでるけど、体にいいの?」
って聞かれても、分からないものもありました。
その場合は、しったかぶりで「大丈夫ですよー」と答えずに、
『次回まで調べておきますね』
と、答えておきましょう。それまで控えておける食品なら控えておいてもいいでしょう。
サプリメント・健康食品
補足ですが、大事なので・・・サプリメントや健康食品は
- お薬と併用してはいけない食品(ワーファリンとクロレラ)
- 過剰摂取が懸念される食品(野菜ジュースのカリウム)
- 使用しても無意味な食品(糖を抑える食品と糖尿病薬)
- 病状によっては避けたほうが良い食品(消化器疾患での酢)
があります。
もし使用している場合は、その効果や相互作用を確認しましょうね!
これで、手札が増えました!
戦う武器も確実に増えましたね!
手札が多いほど、組み合わせによっては爆発的な戦闘力も発揮します。
偏っていても、それはそれであなたの戦い方かもしれません。
手札を組み合わせて、患者さんへのオーダーメイドな栄養指導フィールドを作ってみませんか?
以上、参考になればうれしいです!
最後までありがとうございました!
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