今回は、栄養指導で「エネルギー計算ってどうやっているの?」って気になるのかな?と思い書いてみました。
(ざっくりと書かせていただきましたので、のちのち詳細を追記する場合もあることをご了承ください。最初のとっかかりとなるように書きました。)
栄養指導でエネルギー計算をする場合、まずは、1日の食べた物を聞き取りします。
私や他の栄養士さんがやっている方法をご紹介いたします。
食事を聞き取る目的
目的は、だいたい1日どんなものを食べているのかや嗜好など食事の傾向を知り、今後の栄養管理に役立てることです。
栄養指導における、重要な評価項目になります。
おもな食事調査法
おもな食事の調査法は以下の2種類です。
- 24時間思い出し法…その場で昨日の1日分の食事を聞き取ります。
- 食事記録法(数日~1週間)…書いて来てもらう方法です。詳しい量は栄養指導の際に聞き取りでも良いです。
多いのは1番の24時間思い出し法です。栄養指導の場で聞き取りする方法です。
次回までに書いて来てくださいというところなら、2番の食事記録法も有効です。
それぞれの長所・短所があるのでそれを理解して活用できるといいですね。
以下に、『24時間思い出し法』について、実際の流れを会話形式で記述します。
1.食べたものを聞き取る
食べた物1日分をききとります。
昨日の1日分を聞き取ることが多いです。
前提としてその1日が特別な日でなく、日常的な食事であることが理想です。
なぜなら、例えば「誕生日会でケーキや揚げ物が多かった」や、「具合が悪くて、うどんとお粥、果物やジュースばかりだった」では日常的な栄養量を算出することはできにくくなるからです。
その場合は、「だいたいいつもどんなものを食べることが多いですか?」とお聞きします。
自分もそうですが、朝はパンで、昼は弁当で~など大体決まった食事の方が多いです。
やりとり例
1日のエネルギー量を出してみたいと思います。
昨日食べた物を教えていただいてもいいですか?
昨日は…何食べたかな…
ああ、朝は、○○と□□と…
ありがとうございます
つぎに お昼食べた物を教えていただいてもいいですか?
お昼は…簡単に○○と□□かしら
夜、食べた物を教えていただいてもいいですか?
夜は…○○と□□だったかしら
また、同時に食事時間も聴きます。規則的な食事であるかを確認しています。
食事の時間(時刻)はいつころですか?
これを聞くと、例えば、
朝は遅いの10時くらいのときもあるわ。
だから朝とか昼を食べないときもあるのよ。
なんて方もいらっしゃいます。
こうすると、食事時間も問題点の1つになります。
間食・飲み物を忘れずに!
意外と忘れがちなので、あえて聞きましょう!
食事の他に食べているものはありますか?
あ、せんべいを1~2枚食べるわ
飲み物はどんなものをのみますか?
コーヒーかしら
ブラックですか?何か入れますか?
何杯くらい飲みますか?
ミルクを少し入れるかな
1日1杯くらいかな
コーヒーは一緒に入れているものでエネルギーが変わります。
夏は清涼飲料水が多くなりがちです。(水のように飲んでいる方もいらっしゃるのであえて突っ込んで聞くこともあります)
また、飲み物を聞く理由のもうひとつに、「水分をきちんととれているかな?」ということを確認しているということもあります。
2.書き出す
こうして聞き取りながら、以下のような表に書き出します。
*説明
表の上の「表1・表2…」が糖尿病食品交換表の「表1・表2…」の分類です。
慣れるまでは分けなくてもいいかと思いますが、慣れたら分けながら書いてみましょう。
これでエネルギーだけでなく「バランス」を見ることができます。
ポイント:聞き方のポイント
量(重さ・大きさ)はできるだけ詳細に聞き取りたいポイントですが、聞き取りには限界もあるというのも知っておきたいところです。
料理をする方、しない方で、重さの感覚が分かれます。
わたしは重さの目安として、
- 卵の重さを参考にしています!
どんなに料理をしなくても卵なら持ったことはあるはず!と思います。
卵1個は約50gですので、肉や芋類は卵1個分より重いか?軽いかを聞いて判断しています。
手ばかり法
もうひとつに手ばかり法というのがあります。
手のひらを広げたときのどのくらいの量か?を聞きます。
肉や魚はこの方法で大体の大きさを聞いています。
魚は1切れ約1単位と考えていますが、サバなど脂ののった魚はエネルギーが高めです。
分からないときは交換表を一緒にみて確認
それでもどのくらいとピンとこないときは、交換表を開いて、対象者と一緒にこのくらいですか?と、確認します。
ポイント:表1と表2くらいは覚えておくとラク!
表1は、主食(ごはん・パン・麺など)、芋類(芋・かぼちゃ・とうもろこしなど)です。
表2は果物ですね。
主食はよく出てきます。
ごはんの1単位は?(ごはん50ℊで1単位)
食パンの1単位は?(6枚切りの2分の1枚で1単位)
表2でよく出てくるのは、りんごやバナナ。
柿やブドウやイチゴなどの果物を季節性なので、そのときは交換表で確認でもいいです。
これを覚えておくと計算が早くできます。
計算
ここまで『単位』で書くことができたら、あとは計算するだけです。
〇単位×80キロカロリーとなります。
実際は食品交換表とエネルギー本を組み合わせている
ここで単位表だけでは、足りないところをご紹介します。
例えば、間食で出てきたせんべいや清涼飲料水のエネルギーは、単位よりもエネルギーで提示したほうが計算しやすいです。
また、対象者にも理解してもらいやすいと考えます。
他にも、
外食でラーメンを食べた。
昼食でサンドイッチを食べた。
夕食に冷凍食品を食べた。
これらの食品も、エネルギー本を利用したほうが、分かりやすいです。
なぜなら、食品交換表は食材での表記であるためです。
そのためにエネルギーの本を活用しています。
一緒に見ると、対象者もこんなにあるんだ!と興味を持ってくれます。
また、「買おうかな?」どこに売っているの?なんて方もいらっしゃいます。
エネルギー量に興味をもってくれるきっかけになってくれるのはうれしいですね。
まとめ
- 食品は、糖尿病の食品交換表
- 料理は、エネルギー本
と分けて使っています。
栄養指導でのエネルギー計算の本来の目的は、日常的なエネルギーをどのくらいとっているかに気づいてもらうことだと考えます。
それにより、多い(または足りない)に気づいて、次の計画に活かすことが目的です。
(給食のように栄養価を正確に算出することが目的ではないということです)
エネルギー計算は、栄養指導中、その場で行うことが多いので、いかに、ラクに・負担が少なく・時間を節約して・分かりやすく
という4点が大事だなと思って、意識しています。
エネルギー計算がラクになります
紹介した書籍
糖尿病食品交換表
エネルギー早わかり
おすすめはこの本です↓女子栄養大学出版部の出版です。
2022年10月に新・第5版が出版されました!
↓こちら、栄養指導で使用している本についてまとめています。
書籍紹介:「栄養指導の流れを知りたいならコレ!」
2022年12月に出版されたばかりの本です。
これから栄養指導をやる方、ステップアップの途中の方へお役に立つ一冊かと思います。
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