高齢者施設の管理栄養士さんは、何をしているの?
病院から老健施設に異動経験がある管理栄養士りんごがお伝えします!
管理栄養士のおしごとは、病院や高齢者施設等々あります。わたしは『介護療養型保健施設』・『介護老人保健施設』で仕事経験があり、病院との違い・いいところも感じながら働いていました。
大まかなところをお伝えしますので、『高齢者施設の栄養士って何をしているの?』『病院とは何が違うの?』といった疑問の参考になればと思います。これからの就活・転職活動の参考にしていただけたら嬉しいです!
高齢者施設 介護施設
私が勤務していた施設は、『介護療養型保健施設』と言われる施設です。
施設には医師が滞在し、医療や看護に重点を置いたサービスを提供することができます。
(高齢者施設でも形態がいろいろありますが、この点は今回は省略させていただきます。)
基本情報は以下の通りです。
- 施設管理栄養士:1名
- 委託給食
- 委託給食側の栄養士1名
- 入所者定員:180人
- 食数(経口摂取者):150人
- 経管栄養者数:25名前後
- 長期入所(ロング)のみ
- ショートステイなし
- デイなし
- 電子カルテ・栄養管理システム有。連携有。
給食が委託運営の場合について
現在勤務している施設は、給食は委託会社が運営しています。
ですので、毎日の給食業務においては急いで行う仕事はありません。納品とか、食材が足りない!などの多少のトラブルで施設栄養士が呼ばれることはありません。その分、栄養管理に集中できます。きっちりと業務分担がされています。
1日のスケジュール
施設管理栄養士の主な1日です。
主な業務の『担当者会議』はほぼ毎日あります。
ここに入所があれば、入所説明・カンファレンスなどを行います。
- 出勤出勤
ミーティングまでに出勤していればOK.
今のところは栄養士はユニフォームがありません。おかげで着替えはありません。着替えが必要な場合は、着替えを済ませておきます。
- 8:25朝ミーティング(5分間)
各課の代表者による1日の予定を確認するミーティングを行います。
当施設は事務所で行いますが、サービスステーションに集まる場合もあります。
栄養科ミーティングは、施設管理栄養士が1名の為、特に行っていません。
- 8:30~9:00担当者会議の準備・庶務
9時ころから担当者会議があるので、それまでに終わらせたいことをこの時間で行います。
- 9:00~担当者会議(1~4名)
夜勤明けの介護士さんに合わせて行うことが多いので、この時間が多いです。
前職でもこの時間でした。各施設の入所者数により、何名行うかが変わってきます。
担当者会議が終わったら、栄養計画書を作成・更新します。
- 9:30頃~栄養管理業務
担当者会議が終わるとひと段落です。
入所者のモニタリングなどの栄養管理業務を行います。
また、食事変更の方がいる場合が、この時間に昼~の食事変更を行います。
- 12:00~12:30ミールラウンド
お昼の食べている状態を見に行き、必要があれば食事変更を相談・実施します。
- 12:30~13:30昼休憩
ミールラウンドが終わったら休憩をいただきます。
- 15:30(判定者会議/毎週木曜日)
入所者判定を医師も含めた各職種が集まり、行います。
- 16:00担当者会議②
日勤帯が終わる頃の時間や準夜勤の方にあわせて、担当者会議を行います。
- 17:00退勤
その他業務
その他の業務は、一人で進められるような業務は、上の合間の時間で行います。
主な業務の詳細
入所にかかわる業務
1.入所日が決まったら、書類の作成を行います。
- 事前の情報にてスクリーニングを行い、栄養管理計画書を作成する。
- 食事箋の作成。
- 食事伝票を作成し、食事の開始を厨房に指示。
これらを、入所前までに作成しておきます。
2.入所当日、入所者家族へご説明します。
栄養計画書の内容説明。食事内容の説明を行い、また、不明な点や確認しておきたいことなどを話します。
3.入所時カンファレンス
入所当日、担当者が集まり、今までの情報を確認し合い、方向性を決定します。
2週間後に再度担当者会議があるので、その間に行っていくことを確認し合います。
4.入所後2週間後の担当者会議
入所後、2週間の間に、入所者はどのような様子であったか、方向性はあっていたかを確認します。
担当者会議と同じような感じですすめます。
特に問題が無ければ継続。変更があれば、変更します。
判定会
当施設では、毎週1回行っており、多いほうだと思います。
この頻度は、入所者数や出入りの違いで異なると思われます。
医師・看護師・相談員・リハビリ代表・管理栄養士代表が集まり、入所が妥当であるか、確認しておくとはないか?を相談し合います。
月1業務
料理クラブ
施設には、書道クラブや手芸クラブといった、クラブ活動というものがあり、その一つとして『料理クラブ』があるところが多いかと思います。管理栄養士はほぼここに属しています。
クラブ自体は月1~2回行っています。
料理は、入所者の方が作りやすいものを中心に決定しています♪
何を作るかの会議も月1回集まります。
準備は多少ありますが、入所者さんとふれあい・笑い合える楽しいひとときです(*^_^*)🍎
どらやきとか芋汁とか作りました♪
クリスマスにはケーキを作りたいな♪
食事委員会
食事委員会は、主に委託側の栄養士と施設管理栄養士が集まって行っています。
検食で問題はなかったか、給食や栄養科に関わることを意見・相談します。
献立のチェック・掲示 など
給食業務は委託側が行ってくださいますが、最終決定・最終確認は施設栄養士が行います。
来月の献立確認。内容や栄養価をチェックします。
献立を施設内に掲示するのは施設管理栄養士が行っています。
当施設はユニット形式の為、各ユニットに献立を掲示しています。
10以上のユニットあり、
ユニットごとに掲示しなければならないので、結構大変です💦
食堂が1か所や2か所の施設なら、1~2枚で済みますね(*^_^*)
衛生管理帳票チェック
各月の衛生管理簿の最終チェックを行います。
委託側栄養士がチェックしていますが、施設での確認します。
↓衛生関係の書類については以下も参考にしてみてください。病院とは施設は違えど、衛生管理は全国共通です!
月次業務
月1回の食数集計・加算件数の報告など、報告書類の作成を行います。
月初めに、先月の報告を行う業務になります。
管理者会議
管理者会議も参加します。
管理栄養士は施設では1名のところが多いので、代表として参加します。
管理職手当の出ない、管理職です~ぅ
他、褥瘡委員会など
他の委員会活動にも管理栄養士が必要なところへは参加しています。
施設と病院との違い
食事の変更
■高齢者施設は、病院と異なり食事の変更が少ない。
⇒手術などをすることはなく、もちろん状態が安定されている方が入所されるので、食事形態は安定してます。
変更は、嗜好・義歯の不具合・噛めない・飲み込めない・体調不良による食止め・変更が主な内容になります。
■高齢者施設は、入院の場合と異なり、入所はある程度把握できている。
⇒このため、急いで食事出して!といった業務は少ないです。
栄養管理
栄養管理においては、施設では検査は頻繁に行うわけではない為、低栄養や疾患によっては判断材料が少なく感じる場合もあります。(アルブミン・ナトリウム、はかってほしい…とかね)
アルブミン・ナトリウム・血糖値…もう少し情報がほしいの…
施設では介護保険の為、検査費用が施設負担となります、血糖値だけでも頻繁には測れません。
その代わり、聞いたり(問診)・触れたり(触診)で栄養状態の変化を見たりします。
施設の違いを把握するための目安
ひとくちに高齢者施設と言っても、形態が異なります。転職・就職を考える際に管理栄養士がチェックすべきポイントは以下のところです。
この違いにより、管理栄養士の”忙しさ”も変わる場合があります。
また令和3年の介護報酬改定で、管理栄養士の定員が増えた施設もあります。
さいごに
病院・施設とは医療保険・介護保険と基本も異なります。
その施設に準じた動きが求められるため、管理栄養士の動きも異なります。
ですので、それぞれの仕事内容・特性を予め知ることで、働き始めてからの『思っていたのと違う』といったことも少なく感じられるでしょう。
以上、ありがとうございました!
こちらは↓「病院栄養士の仕事」・「病院栄養士の1日」についても書いてます♪
コメント