誤配膳(間違った食事が配膳されてしまうこと)によって、最悪、命に関わる医療事故となりえます。
大げさかもしれませんが、想像してみてください。
例えば、嚥下機能に障害がある方へ常食が配膳されてしまったら?
最悪の場合、窒息の危険もあります。
アレルギーの方へ禁食が配膳されてしまったら?
アナフィラキシーショックにより、命にかかわるかもしれません。
そのことを認識して、対策していきましょう!
誤配膳の内容
誤配膳、その内容としては、
- 食事自体を他の方へ配膳されてしまった。
- 主食の間違い。全粥の方へ米飯が行ってしまった。
- おかずのつけ間違い(魚禁の方へ魚が配膳されてしまった)
- 付け忘れ(牛乳が載っていないなど)
- そもそもの食事が配膳車に入ってない。食札がない。食札の書き間違い。
といった、内容があります。
まずは
それぞれの原因を探り、対策を立てましょう。
ケース1「食事自体がほかの方へ配膳されてしまう」
アレルギーの方、嚥下調整食の方へ注意が必要な間違いでもあります。
原因:配膳者が間違えて配ってしまうことが大きな原因と考えられます。
対策:配膳時、患者様の名前を確認ベットネームを見る。
確認の方法は指差し・声だし確認をすることです。
同じ部屋に同じような名前の方がいらっしゃる場合もありますので、その際は、情報共有も大切です。
例えば、佐藤 〇〇さんのいらっしゃるお部屋に、佐藤 □〇さんが入院しました。似ている名前なので注意しましょう!といったやりとりです。
基本的に、医療事故防止の為、同姓同名は同室にすることはないようにしていると思います。
しかし同じ病棟はあり得ます。同じ病棟の食事が同じ配膳者に入っている場合は注意しましょう。
同姓同名の方がいらっしゃる場合は、
食札に『同姓同名注意』と記載したり、『年齢』などの情報を一つ加えておくことも対策になります。
ケース2「主食の間違い」
嚥下調整食の方へ注意が必要な間違い でもあります。
発見時の状況:「ご飯なのに、お粥が来た」という訴えにより発見されます。
原因①:料理を配膳車に入れ込む過程での間違いが主な原因です。
原因②:もう一つの原因では、盛り付け時に間違えてしまい、ふたが閉まっているのそのまま分からず入れ込んでしまったという間違いもあります。
改善案:
①の改善案としては、食札の見直しです。食札に情報がいっぱいなのも困ります。
整理したうえで、例えば主食は色や記号でわかるようにする。
食札の上のラインを色分けしたり、食札立てを使用しているところは、その色を変えるなどです。
赤→ごはん
青→全粥
黄色→その他の主食(麺・分粥)
②の改善案としては茶碗の色や柄を変えるという方法もあります。
米飯と全粥の器を違うものにするのです。
予算に関係しますので一概には言えませんが、そのタイミングがある場合は考えてみてもよいかもしれません。
また、「ごはんになったはずなのに、全粥で出ている」では、変更時の食札の書き間違い等もあるので、原因の追及をしましょう。
ケース3「おかずのつけ間違い」への対応
アレルギーの方、嚥下調整食の方へ注意が必要な間違いでもあります。
発見時の状況:「私、魚嫌いって言ってあったんだけど、焼き魚来ている」ということで発見されます。
原因:これも、上記のような主食のつけ間違いと同様、配膳車に乗せる際の間違いです。
対策:禁食の数を把握し、入れ込み後に余ったら、間違えて付いてしまっていたと疑うことができます。もう一度チェックしましょう。「誰が禁食になっているか」もある程度把握しましょう。
+αの対策としては、禁食対応の料理数を減らすことです。アレルギー以外の禁食はある程度制限していかないと、対応しきれません。「締めるところは締める」です。
りんごも、禁食対応料理数を減らす対策を行いました。
ミスを防ぐためもありますが、『おいしい料理に注力してほしい』
という業務改善の意味もあります。
ケース4「付け忘れ」への対応
付け忘れ=「あるべきものがお膳に載っていない」です。
発見時の状況:病棟へ配膳されて、患者様に到着した時点で、「いつもとちがうよ」「お昼は牛乳が来るはずだけど来てないよ」「味噌汁がないよ」「小皿の料理がないよ」などということで発見されます。
原因:入れ込みの際の付け忘れ。または、食事変更時の変更間違い等です。
対策①:料理数の把握・料理を決められた数準備する。
牛乳・乳製品を決められた数準備すれば、ついてない場合は「余る」はずです。これにより、もういちどチェックすることにより防止できます。
対策②:お膳に料理がそろった時点での皿の数を数えることでも、チェックできます。例えば、
- 主食
- 汁
- 大皿
- 中皿
- 小皿
- 牛乳・乳製品
なら、6点ついていれば、OK!付け忘れはないと判断できるでしょう。
ケース5 そもそも、食事が配膳車に入ってない。
発見時の状況: 病棟からの「食事が来ていない」で発見されます。
原因:これは、最初の伝票チェック者のミスが多いです。栄養士が関わることが多いところでもあります。
食事伝票→食札作成の中で、
・書き間違いをした、
・食札が作成されていない。
・食札をなくした。
・まさかの、伝票をなくした。 等が考えられます。
対策:書き間違い等は、例えば、一度書いてから、もう一度チェックする。
二人目にダブルチェックで見てもらうなどが対策となるでしょう。
+対策①ダブルチェック(二重チェック)の導入
食事により、誤嚥・窒息・消化不良による腸閉塞・下痢等が起これば、それは医療事故です。
病棟では看護師は必ずダブルチェックを行っています。
栄養科でも、行っていないところがあれば導入しましょう。
+対策②声出し・指差し確認の導入
声出し確認・指差し確認は動作を加えることで、ミスを減少できることがわかっています。
家を出る前に、
👉「電気(消した)」
👉「元栓(閉めた)」
👉 「鍵(閉めた)」
のように、確認するように、栄養科でも行っていきたいですね。
今日のお仕事よーし!👆
+対策③禁食の見直し
上記にも上げましたが、大本山かもしれません。
負の遺産・・・サービスという名の禁食対応数。
やる業務が多くなるほど、ミスも発生しやすくなります。
サービスという名で行われていますが、それでミスが発生して患者に迷惑がかかれば本末転倒だと思います。
りんごも、禁食対応料理数を減らす対策を行いました。
ミスを防ぐためもありますが、『おいしい料理に注力してほしい』
という業務改善の意味もあります。
禁食対応は、サービスという場合もあります。しかしながら、
病院=一時的
特養・老健=長期(生活の場)
という違いもあります。
サービスと考えるなら福祉施設の対応は多少仕方ないかと思います。
しかし、病院は短期的な場合は少し我慢していただくことをご説明してみてもよいかと思います。説明は大切。
どこまでやるか?これを考えていく必要があります。
どのように削減したかは、またどこかで書きたいと思います。
最後に。「気を付けます」は改善策ではない。
最後に、きつい言葉かもしれませんが、
「今度は気を付けたいと思います」という報告。これは、何も解決してないのと一緒です。
なぜなら、気を付けていていたのに起きたから。
なので、原因を客観的に分析し、対策は物理的に講じることが大切だと思っています。
人が悪いのではなく、システムが悪いと解釈するのが大事です。
なーんか難しくいいましたが、『分かりやすいほうが、間違わないよね』ってこと。
色とか文字の大きさとか変えたらズバリ解決!なんてこともあるかも。
そのためには、「見えにくかったんです…」なんて言葉も逃さないことも必要かも。
そして、それを言いやすい環境も大事。
言いやすい環境が大事!
みんなで話し合って、解決していきましょう。
みんなで話し合っていきましょう!
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